子宮脱・膀胱瘤・直腸瘤(骨盤臓器脱)や尿もれの予防・ケアの基本としてすすめられるのが「骨盤底筋体操(ケーゲル体操)」です。ただ、当研究所へのご相談では「続けたけれど変化を感じない」という声も少なくありません。実は、やり方と姿勢にコツがあります。このページでは、基本の体操から当研究所オリジナルの方法まで、実践的にまとめます。
※このページは一般的な情報提供です。すでに症状がある方は、体操を始める前に医師にご相談ください。無理は禁物です。
目次
まず知っておきたいこと——「うまく力が入らない」人がとても多い
骨盤底筋体操は「膣や肛門をキュッと締める」だけのシンプルな体操ですが、実際にやっていただくと、多くの方が骨盤底ではなくお尻の大きな筋肉(大臀筋など)に力が入ってしまい、肝心の骨盤底筋にうまく力が入っていません(当研究所の相談経験では半分以下の力しか入っていない方が大半です)。
もうひとつのポイントは、骨盤の下側が広がった状態では、骨盤底筋に力が入りにくいということ。骨盤の下側(恥骨結合のあたり)が広がると、尿道・膣・肛門の穴が横に引っ張られるイメージです。そのため当研究所では、骨盤ベルトなどで骨盤の下側を支えた状態で体操を行うことをおすすめしています(※着用時のみ骨盤を支えます。感じ方には個人差があります)。
基本の骨盤底筋体操(ケーゲル体操)
力を入れる場所は2つ
- 膣まわりを締める:子宮脱・膀胱瘤・尿もれのケアに。「締める」というよりキュッと上に引き上げるイメージで
- 肛門まわりを締める:直腸脱・痔などのケアに
スピードは2パターン(2種類の筋肉を鍛える)
筋肉には速筋と遅筋の2種類があり、締めるスピードで使われる筋肉が変わります。
- 「きゅーーーっ」と3秒以上締めて→脱力(遅筋)
- 「きゅっ・きゅっ」と1秒ごとに締めて→脱力(速筋)
続けやすい目安としておすすめなのは、「10秒締めて→ゆるめる」を繰り返し、1日3分×3セット。立っていても座っていても、気づいたときにできます。
効果を出しやすい姿勢——「骨盤高位」
いちばん取り組みやすいのは、骨盤高位(こつばんこうい)の姿勢です。
- 仰向けに寝て、腰の下にクッション・枕・座布団などを敷き、骨盤を約10〜15cm高くする(無理のない範囲で)
- この姿勢は、下がった臓器が重力で本来の位置の方向へ戻りやすい体勢です。この状態で膣・肛門を締める体操ができるとベストです
当研究所オリジナルの体操
和式トイレスクワット(研究所代表・岡林考案)
基本の体操ができるようになった方向けの上級編。和式トイレに座ったり立ったりするイメージのスクワットです。
- 足を肩幅に広げるのが最大のポイント。お尻まわり(仙骨周辺)の筋肉に働きかけます
- 膝や腰に痛みが出る場合は無理をしないでください。回数は「心地よく続けられる程度」でOK
鍋持ち上げ体操
水がたっぷり入った重い鍋を「こぼさないように」と意識して持ち上げる動きの体操です(渡部信子先生『骨盤メンテバイブル』より)。膣と肛門にキュッと力を入れた状態で、背筋を伸ばして行うのがポイントです。
下腹ぽっこり・内臓の下がりが気になる方は、内臓下垂の解説ページも参考になさってください。
体操と「支え」はセットで
「下半身美人ベルト」は、骨盤の下側を正しい位置で支えることを目的に作られた、国内手作りの骨盤ベルトです(医療機器ではありません)。巻いた状態で骨盤底に力を入れる体操や散歩を組み合わせる使い方を、当研究所ではおすすめしています。手術しない選択肢(保存療法)の全体像はこちら、実際の体験談はお客様の声をご覧ください(個人の感想であり、効果を保証するものではありません)。
よくあるご質問
Q. どれくらい続ければ変化を感じますか?
A. 個人差が大きく、一概には言えません。筋肉のトレーニングなので、まずは「3ヶ月」を目安にコツコツ続けることをおすすめしています。
Q. 体操だけで骨盤臓器脱は治りますか?
A. 症状の程度によります。すでに症状がある方は自己判断で済ませず、医療機関で状態を確認したうえで、体操・ペッサリー・サポート用品・手術などの選択肢を医師とご相談ください。
執筆:バランス工房代表・日本骨盤臓器脱研究所代表 岡林秀和(鍼灸師[国家資格]・整体師)。日々、子宮脱・膀胱瘤・直腸瘤でお悩みの皆さまからのご相談をもとに、お役に立つ情報をまとめています。
※本ページは一般的な健康情報であり、診断・治療に代わるものではありません。症状については医療機関にご相談ください。
